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当ブログをご覧いただきありがとうございます。税理士の岡田隆行です。
あなたは、”ふるさと納税”やっていますか?
ふるさと?もともとの主旨からズレ
本来は自分が応援したい自治体、または過去にお世話になった自治体への応援金という趣旨だったのですが、「返礼品を贈ってもよい」という規定がクローズアップされてしまった結果が今の惨状のようです。
今さらですが、制度の概要は簡単に言うとこうなります。「2000円出せば、その何倍もの品物がもらえる。」そう聞いての自然な反応はふたつあると思います。
①「そんなオイシイ制度があるんだ!さっそく使おう!」
②「えっ?どういうこと?その差額は誰が出すの?」
誰が出しているのでしょうか。どこからか出ていなければ出した金額以上のモノがもらえるはずがありません。
(お金のながれ)
寄付者 →(1万円)→ 寄付先自治体 →(3千円)→ 品物の生産者
寄付者 ←(8千円)← 国・寄付者在住自治体
(お金の収支)
寄付者 ー1万円 + 8千円 + 3千円 = プラス1千円
寄付先自治体 1万円 ー 3千円 = プラス7千円
国・寄付者在住自治体 0 ー 8千円 = マイナス8千円
国全体 +1千円 + 7千円 ー 8千円 = 零
こうしてみると、寄付者在住自治体つまり自分の自治体の財源がマイナスになっていることがわかります。この計算は極簡単に例示したものですから、実際にはふるさと納税の事務処理のための予算も必要になります。ですので、国全体としてはトントン(プラスマイナス零)ではなく、必要経費分だけ損をしているといえます。同じ国の中で自治体が財源を奪いあうというまさに内戦状態とも言えましょう。
人の美しい心情
「返礼品が来た!やたっぜ!」と喜んで、ふと外を見ると家の前の道路は真っ暗。街灯の整備が進んでいないのは自分のふるさと納税のせいではないのだろうかとふっと考えてしまう。そんなことはありませんか。
自分の住む自治体の財源が減るとどうなるか、ごみ処理から幼稚園、小中学校の教育費までさまざまな行政サービス全体にじわりとしわ寄せがくることは確実です。
デールカーネギーの「人を動かす」に「人の美しい心情に訴える」という章があります。人の行動にはふたつの動機(理由)があって、ひとつは本当の理由、今ひとつは美しく彩られた理由なのだそうです。人は誰しも理想主義的な傾向を持っていて、じぶんは利益を度外視した行動ができるエライ人間だと思いたい部分があるということなのですね。あの暗黒街のゴッドファーザー、アルカポネですら自分は社会の役に立っていると考えていたそうです。
それを考えると、ふるさと納税を実行している方のうちの賢明な方は「なんだかヘンだなあ・・・」と思いながら、一方で「やらなきゃ損だし・・・」というジレンマをかかえているものと想像します。はたまた、実行しないと決めている方は「本当は損しているんだよな・・・」と思いつつ「でも、子供へのサービスが低下するのは防がねば・・」というジレンマをかかえている。実行してもジレンマ、しなくてもジレンマをかかえてしまうという罪な制度ですよね。
仕組みを再考する必要がある
所得控除のひとつとして捉えれば、社会保険料控除と同じ所得控除なのです。ただ、社会保険料は全額所得控除にはなりますが、税額で控除できていない分の住民税が安くなることはありません。
税務支援での確定申告書を作成していると、ふるさと納税利用者の方もたくさんいらっしゃいます。わたしの感覚ですが、寄付先は北海道と九州が特に多いです。以前のように、自治体の所在地、名称を入力する必要はなく、ドロップダウンリストから自治体を選択すればよいのですが、北海道は全道の市町村がずらっと出てきます。目的の市町村を見つけるのに一苦労します。
名産品のあまりない都市部から、地方への財源の移動が多い傾向にあるようです。都市部に人口は集中する傾向にあるにもかかわらず、住民サービスは低下してしまう。教育費、給食にまでその類が及んでいるとすると、将来を担う子供たちへ禍根を残す結果になります。国全体としてみるとマイナスになっているこの制度は根本的に見直す必要があると私は考えています。
【きょうの料理】
鶏もも肉のビネガー煮です。鶏もも肉を筋切りして塩コショウして、フライパンで焼き色をつけて取り出し、レンチンしておいた玉ねぎとキャベツ、カットトマトを炒めます。トマトが崩れてきたら、お酢を大さじ5加えて一度煮たてて、味噌小さじ1と塩少々で味をととのえればできあがり。
あっさりすっきりした爽やかな煮物に仕上がりました。