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当ブログをご覧いただきありがとうございます。相続専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。
当たり前のことですが、できることなら税務調査は受けたくありません。申告納税制度は税務調査があることを前提に機能していることはもちろん分かります。ただ、貴重な時間を半強制的に奪われ、納税者にも税理士にも精神的な苦痛となることは事実です。
疑問(不審)点の解消
税務調査は提出された申告書の内容を当局の保有資料と照合して精査し、疑問点、不審点がある場合に実施されます。疑問点や不審点がなければ実施されないということです。
相続財産のうち土地の評価額であれば、基本的には相続税の申告書の第11表に記載しておけばそれでよくて、土地の評価明細書を添付することは義務付けられてはいません。
ただ、路線価の単価に地積を掛けるだけといったような単純な案件でない場合、その土地の評価額の計算過程で、評価額の減額理由が明らかでなければ、それを税務署側は確認する必要があります。
その点を明らかにするために、評価明細書を添付して、税務署にいらぬ疑いを持たれないようにする訳です。
詳細な説明を添付する 書面添付制度
評価明細書だけでなく、申告内容に説明を添えて、当局に疑念を抱かせないようにすればいいということになります。それには税理士法に規定されている書面添付はある程度有効です。
添付書面によって疑問点が解消されれば、税務調査には発展せず、たとえ税務調査の対象とされた場合でも、税理士に事前に意見聴取の機会が与えられます。
そこで疑問点が解消されれば実地調査は実施されずに済みます。私の経験上では意見聴取だけで、実地調査にはならなかった案件はありませんが、制度上はそういう仕組みになっています。
薮蛇にならないか不安
他の税理士先生とお話ししていてよく聞くのは、揚げ足を取られるかも知れないので、書面添付はしないというものです。
添付書面に「財産Aについて~の書類を確認した」と記載されているのに、財産Aの申告漏れがあったというような場合です。
そういった場合もあるかも知れませんが、書面添付によって実地調査が回避でき、それでも指摘を受ける可能性と、書面添付をせずにその他もろもろで指摘を受ける可能性と比較してみれば、前者のほうが断然低くなるものと思われます。
メモ書きでも付けないよりはマシ
税理士法に規定される正式の書面を付けないまでも、申告の内容に第三者目線から見て明瞭でないもの、または数値がある場合には積極的に説明書を添付したほうがよいと私は考えます。
税務職員としての経験上、申告内容に何らかの不審点があり、実際に調査に行ってみたら何でもないことだったということがよくあったからです。
そういった案件は当初の申告書に、ほんの少しでも説明があれば、調査を回避できていたかも知れません。
申告書に適宜説明を付すことは、当局の疑問点を解消することになり、納税者・税理士の貴重な時間を無駄にする事を防止して、ひいては税務調査にかける国家予算を、真に調査すべき案件に向けることにつながります。
税理士にとって、そういった説明書や書面添付をすることは、申告書提出前に相当の手間と時間がかかることとなります。それと税務調査で費やされる時間とを天秤にかけるということになりますので、必要に応じてと言うことになるのですが、出来るだけつけたほうがいいと私は考えています。
【きょうの料理】
フライパン焼きサワラです。切り身魚はちょっとお高いですが、たまにはいいですね。