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当ブログをご覧いただきありがとうございます。相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。
「トシとったら、なんにもええことないわ~」先日贈与税のご相談をいただいたお客様が仰いました。御年78歳の奥様です。
歳を取るとええことがなくなる?
相談内容は、固定資産税を払うのがもったいないので、土地と建物を夫から子供に贈与した場合にいくら贈与税がかかるか、ということが主でした。
奥さんより2歳年上の旦那さんの財産をざっと計算したところ、将来的に亡くなった際に相続税の課税対象にはならないようでした。そこで、贈与をするなら、相続時精算課税を使った方がよいことをご説明しました。
ところが、旦那さんからお子さんへ贈与の話をするように、いくら奥さんが促しても、「まあまあ、そのうちそのうち」と言っていつまで経っても話をしそうにないそうです。
どうも、旦那さんの本心は、自分が死んだらどうせ子供が相続する土地建物なのだから、今贈与する必要はないということのようでした。
贈与の話はもう何年も前からしているのに、まったく話が進まない。最近、旦那さんは認知症の兆候がでてき始めており、余計にきちんとした贈与の話はできにくくなってきている様子です。
私が訪問して、相談の最中に奥さんが子供へ贈与の話はいつするのと詰めよっても、旦那さんは「そのうちしますよ。」とか「いずれは全部子どものものだ。」とか言って取り合いません。そこで奥さんが言いました。「トシとったら、なんにもええことないわ~」
20数年後の自分は感謝できるか
私は今年55歳ですので、あと20数年でこのお客さまと同年齢になります。その時に私もこの奥さんと同じように、歳をとったら何もいいことがないと嘆いているのかなと考えてみました。
加齢に伴って自由に動ける範囲は狭まってゆくのは仕方のないことです。判断力も低下して、自動車運転にも支障がでてくるでしょう。好きなバイクからもいつかは降りる日がやってきます。あらゆる身体的な機能が徐々に衰えて、できていたことができなくなってゆきます。
赤ちゃんが成長するにつれ、できなかったことができるようになってゆくのと、逆の状態になって自分では何もできない赤ちゃんに戻ってゆきそして死を迎える。老いるということは、つまらないことばかりになることなのか。でも、赤ちゃんの時はつまらなかったのか、そうでもなかったような気がします。
朝になれば太陽は登って、夕方には沈んでゆきます。月は満ちて、また欠けてゆきます。普段は当たり前になりすぎていて、ほとんど意識することなんてありませんが、考えてみれば自然は粗雑なようでいて、実はおそろしく正確です。
おそろしく正確に、この地球を含め全宇宙が自然に、勝手に動いています。我々人間もその自然の一部分に過ぎません。
人間も同じように生まれ落ちて成長して、成熟し老いて死んでゆく自然の一部なのですから、そこから逃れることはできません。
逃れられないのだから、自分にできることはそれをどう受けとめるか。ただそれだけなのではないでしょうか。そうすると、何もいいことがないと嘆くよりも、なにかちょっとしたことでもいいから、与えられた時間に感謝して過ごしたほうがいいですよね。
【きょうの料理】
蒸し鶏です。鶏むね肉をフォークでぷすぷすと穴だらけにして、塩、砂糖、味噌を揉み込んでしばらく置いてから、600Wで6分レンチンしてしばらく置いてから、スライスしてガラムマサラをふりかければ出来上がり。鶏の下に敷いたモヤシがいい感じの付け合わせになります。