税務調査はするよりも受ける方が楽
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相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する
自分が手掛けた相続税申告案件で、はじめての税務調査がありました。
5年前まで私は税務職員で、調査をする側にいましたが、調査は受ける側のほうが気持ち的には楽です。

嫌がられること
税務調査が好きな納税者はいません。
調査の連絡を受けた人は10人中10人が「嫌だなあ」と口に出すか出さないかは別として、嫌な感情をもつのは確実です。
100%嫌な感情をもっている相手と対峙するのが、税務職員の税務調査というものです。
同じ税務職員であっても、調査が大好きで四六時中出張していたいという調査向きの職員もいれば、そうでない職員もいます。
調査が好きではない職員は、調査事務のない部署への異動を希望するほどです。
私はそこまで調査事務が嫌ではありませんでしたが、決して好きではありませんでした。
それはやはり、相手が嫌がることをしているという観念が拭えなかったからです。
ないものを探す作業
相続税の税務調査でのあるある話が、不明出金の行き先の解明です。不明出金といいます。
被相続人の預金口座から生前にまとまった現金が出ていっているけれど、その行き先、または使いみちが明らかでないもののことです。
調査に赴き、現金の使いみちを相続人に聞いてみると「お金の管理は被相続人がやっていたから分からない」と返答されることが往々にしてあります。
そうなると、現金はどこへ行ってしまったのか探索しなければなりません。
現金のまま自宅に保管されているのではないか、と疑ってみたりします。
公表外の金融機関に預金されているのではないか、と照会文書を出しまくったりしてみます。
特殊関係人に渡したのではないか、と思ってもどこを調べればいいか分かりません。
そうしたないものを探す作業は雲をつかむような作業で空虚感たっぷり。
結果としてすべて空振りに終わるというのがお決まりのパターンでした。
調査上手な人
そんな状況でも調査上手な人は、きちんと「取ってこられる」のですよね。
上手に相続人を説得して、修正申告に結び付けることができるのです。
私は結局その「取ってくる」極意を習得できないまま税務職員をやめてしまいました。
税務調査を受ける当事者の納税者にとっては、調査終了までの間、一体いくら追徴されるのかと不安が拭えないことでしょう。
できるだけ早期に調査終了になるように動くのが関与税理士の仕事だと思います。
ただ、関与税理士としては、自分の計算や評価方法、特例適用の誤りを指摘されないかという不安はたしかにあります。
それはあっても、「取ってこないかん」という重圧よりはずいぶんマシです。
【きょうのお仕事】
相続税申告書の見直しを。見直しは、やはり時間をおいてからやったほうが目線が変わって、というか作った時のことを忘れて、あらたな目でみなおせるのがよいですね。
【きょうの料理】
豚こま肉の親子丼。他人丼というのですかね。ごちそうさまでした。

