タンス預金が減っている 相続財産としての現金の特殊性
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相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する
金利上昇の効果でタンス預金が減っているそうです。
タンス預金とは、タンスにしまってある現金というイメージですが、正確には金融機関に預け入れられていないお金ということです。

現金がなくなる?
昨今はDX化の推進で、キャッシュレス決済の割合が高まっています。私もキャッシュレス決済可能なところでは必ずキャッシュレスで通しています。
そのことで銀行やATMで現金を出し入れすることがなくなり、ずいぶん楽になりました。
では今後は現金取引は減ってゆきなくなってしまうのか、というとそうはならないようです。
それは、痕跡が残らない決済手段として使われるかぎりにおいて、決してなくならないということが言えます。
相続税調査の争点
現金取引の最大の特徴は、やはり現ナマだということ。そのモノ自体に価値があるという共通認識があるものです。それ自体に価値があるから、そのモノが移動してしまえば、取引の痕跡が残らないことです。
その現ナマの特徴を、相続税課税を逃れる手段として使われることが多々あります。
被相続人の預金口座から生前に現金出金して、相続人がそれをどこかに保管してあるのにもかかわらず、現金であることをいいことに相続税の申告をしないでおく。
万が一税務調査があっても、被相続人がやったことだから自分は知らぬ存ぜぬで通せば分からない。そう考える方もなかにはいるようです。
出金された現金の行方
被相続人が生前に出金した現金をなにに使ったのか。
何か高額なもの、たとえば土地とか、建物とか、高級車を購入していた。居宅の大掛かりなリフォームを行っていた。
などであれば、モノが残りますから分かりやすいですね。
これがギャンブルにハマっていた。とか、新興宗教に入れこんでおり多額のお布施をしていた。となると、それは現金のやりとりであり、跡にモノが残りません。
いや、宗教であればお札の類が残されているかも知れません。が、それにいくら使ったのかを追いかけるのは至難の業です。
至難の業ですし、たとえお布施した額がわかったところで、財産が残っているわけではありませんから、相続税の課税対象となるモノが存在しません。
そうなると、税務署としては調べる価値はないことになります。
凄腕の税務調査官がやってきたら、隠匿されている現ナマを発見できるかもしれません。
しかし、税務調査はあくまでも任意調査ですので、納税者の同意なしに勝手に家探しをすることはできませんから、隠匿された現金はそのままになってしまいます。
そんなタンス預金はすべてデジタル化されるということは、まず起こりえないのではないかと。
【きょうのお仕事】
税務調査官と折衝を。国税側が主張する内容については、当然のことながら国税側に立証責任があります。
【きょうの料理】
チリコンカン。ひき肉とトマトのうまみ、スパイスの辛みと香り。カレーとの違いはどこにあるのか、と聞かれたらうまく答えられません。ごちそうさまでした。

