ざっくりとした質問には困惑 税理士独立開業
相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する
あまりにもざっくりとした質問には、応えられないことがあります。

不確定要素の特定は不可欠
相続財産は、預貯金はほとんどなくて、不動産が自宅と用途地域内にある田んぼなのだけれど、相続人が多いから相続税はかからないかどうかと聞かれても、「詳細を調べなければ分かりません」とお応えするほかありません。
不動産の評価でも、宅地の場合には固定資産税の評価額を見れば、概算であっても”これ以上にはならない”という見込みをつけることが可能です。
それは宅地については、公示価格と基準価格という統一された評価指標に基づいて評価額がつけれられているからです。
農地の場合、倍率地域は別として、市街化区域内、日線引き地域の用途地域内の場合には宅地比準で評価額を求める必要があります。
農地の評価額を宅地比準で求める際の最重要事項は、評価対象地の造成費の算出です。
造成費費はその土地毎の個別要因ですから、現地確認しないことには計算することは不可能です。
「たいていの場合造成費を差し引いたら宅地の値段の半分くらいになる」とかいう見込みをすることは危険です。
見込みの評価で相続財産が相続税の基礎控除以下になるから、相続税の申告対象にはなりませんとお客様に伝えてしまい、期限内の申告書を提出していなかった場合、あとから税務署に指摘をうけて期限後申告書の提出となってしまった。
それは税理士の責任になることは明白です。税理士賠償の対象となっても仕方がないことになるでしょう。
理由にならない理由、たとえば申告期限が迫っているとか、固定資産税の評価額が低い、だからきちんと確認をしないというのはまったく理由にはなりません。
その理由で税務署からの期限後申告の要請を拒否できるのであればなんら問題はないのですが、そうは問屋が卸さないということです。
以前、ほかの税理士先生がとある農村地域の土地について、「そんなところの価値はない」と感覚でこたえてしまい、実際には相当の価値があることが判り、お客様から不信感を持たれてしまったという話をきいたことがあります。
いかに腕のいい大工さんでも、建築資材がなければ家を建てることは不可能です。税務判断もまた同じです。
人間の感覚は使うところを間違わなければ、とても有益なものになりますが、こと財産評価に関しては安易に断言することはできません。
【きょうのお仕事】
人生初の租税教室の講師を務めてきました。講義時間は45分間。ほんとにあっという間に過ぎてしまいました。
【きょうの料理】
鰹のタタキ。なんでも値上げの昨今、鰹のタタキは優等生です。ごちそうさまでした。


