税務職員と税理士 難易度の高いのはどっち
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相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する
税務職員のほうが難易度が高いです。

税務調査は説得力
税務職員と税理士、どちらの職業が難易度が高いか。
私は5年前に32年間勤めた税務職員を退職して開業税理士となりました。税務職員時代の主たる仕事は相続税の税務調査でした。
税理士となってからは、相続税の申告書作成が主な仕事になっています。
税務調査はカンタンに言えば、提出された申告書の内容を精査して間違いを指摘することです。
税法の適用誤りや、計算誤り、それから税務署に集積されている資料情報を申告内容と相違がないか確認する訳です。
なかでも相続税調査で指摘される項目の筆頭といえば家族名義預金です。
たとえば、亡くなった被相続人の妻はずっと専業主婦だったにもかかわらず、妻名義の預金がたくさんある。これは被相続人である夫の収入がその資(もと)になっているに違いない。といって調査に入る訳です。
調査に赴いて、相続人である奥さんが素直に「はい、この私名義の預金は主人の収入で築いたものですから、主人の財産でございます。」と認めてくれればいいのですが、なかなかそうは問屋が卸しません。
基本的には預貯金は名義人のものですから、それが名義人のものではないと言うのであれば、その立証責任は税務署の側にあります。
そこで、金融機関調査をするのですが、被相続人とその妻の預金が紐づけばそれが証拠となるのですが、それがない場合も多々あります。
取引の履歴の保存期間は10年間ですからそれ以前の取引内容の裏付けはとれません。
そこでまた奥さんを追及するのですが、そこで調査担当者の腕のよしあしが試されます。腕というよりは口ですね。
どう説得して名義預金をみとめさせるかが、調査で取ってこられるかどうかの分かれ道となるのです。
税理士はすえもの切り
そこへ行くと、税理士は日本刀の試し切り、すえもの切りと同じで、そこにあるものを処理すればいいので簡単といえば簡単です。
お客様に揃えてもらった資料をもとに申告書を作る訳ですから、答えが見えているのでとても気が楽です。
そこには相手を説得することもなく、出された材料の範囲で上手に節税できるところは節税して申告書を作ればいいだけ。
もちろん、税理士は仕事の依頼がなければ、収入がない訳ですから、税務職員の業務にはない営業活動をする必要はあります。
それを抜きにすれば、どう考えても税理士のほうが難易度がかなり低いと私は思うのですが。
【きょうのお仕事】
重たかった相続税案件の申告案を納品。ずりぶん気が楽になりました。
【きょうの料理】
豚こま肉、蓮根、牛蒡のうま煮。ごちそうさまでした。


