土地所有者が借地権を買戻した費用は○○費?
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相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する
先々代から他人さんに賃貸している土地があり、このたび賃貸契約を解消してするというご相談がありました。
土地を返してもらうにあたっては、当事者間で話し合いで決めた立退料を支払うということです。
そして、完全所有権となった土地については、不動産業者に売却する予定とのことです。
となりますと、お客様は譲渡所得の申告が必要となります。
その際に借地人さんに支払った立退料はどういった取扱いになるのか考えてみました。

未経験ゾーン
高松国税局管内(四国四県)では、現実には借地権の取引が慣行化されてはいません。
ただ、相続税・贈与税の課税の上では借地権の取引慣行があるものとされ、そのことを前提に課税がされています。
今回のケースのように、借地契約を解消して底地の所有者が土地を売却することは、よくあるケースだと思われます。
ところが、四国では取引の当事者同士が借地権というものの認識が希薄であり、土地の賃貸借解消の際に借地権相応の対価を主張することもあまりないようで私の税務職員経験上ではそういった譲渡所得申告の記憶があまりありません。
今回のケースで私が最初に考えたことは、借地権を買い戻した場合、買い戻した時点が借地権の取得時期となるのかということです。
そうすると買い戻してから5年以内に、その土地を譲渡した場合には借地権部分については短期譲渡ということになってしまい、税負担が多額になってしまいます。
しかし、土地の所有権そのものは先祖代々受け継いだものであり、その土地に付着していた借地権がなくなることが、借地権の新規取得というのには違和感がありました。
そこで、確認したところ国税庁のタックスアンサーには次のようにありました。
国税庁タックスアンサー No.1382「立退料を支払ったとき」(抜粋)
4.敷地のみを賃貸し、建物の所有者が借地人である場合に、借地人に立ち退いてもらうための立退料は、通常、借地権の買い戻しの対価となりますので土地の取得費になります。
建物所有者である借地人への立退料は「土地の取得費」であり、「借地権の取得費」という認識はしないということになります。
そして土地を借りていた借地人側からすると、受け取った立退料は借地権の譲渡ということになり、譲渡所得の申告の対象となるということです。(借地権という権利の消滅の対価として受け取った金銭=譲渡所得の対象)
ここで、四国では事例がないと思われることですが、底地所有者の借地権の買い戻しではなく、第三者による借地権そのものの取得の場合には、「借地権の取得費」として認識するということなのでしょう。
概算取得費との関係
借地人への立退料が土地の取得費ということになると、その立退料の実額を譲渡所得計算上の取得費に計上することになります。
すると、その土地そのものが先祖代々相続された土地であった場合の概算取得費(譲渡価格の5%相当額)については、取得費計上できないこととなります。
【きょうのお仕事】
税理士会の役員会。きょうはすんなり終わりました。
【きょうの料理】


