10年以上前に契約締結された生命保険契約の権利 税務調査で指摘を受けたら
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相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する
相続税の税務調査での事例です。
相続人である子を契約者とする生命保険契約が20年以上前に締結されていました。
保険契約は一時払いの養老保険で保険料は1000万円超。契約当時の子の年齢は40歳前だったということで、その保険料の出所が今回の相続の被相続人だったのではないかと税務当局はにらんでいるようです。

古い保険契約
相続人である子は高校卒業後から働いており、それなりの収入を得ていたようですが、その収入は不安定で金額を特定することはできません。
少なくとも収入はあったことは確かなのです。
そして、その1000万円超の保険料については、一部は今回の相続の被相続人から贈与を受けたもので、一部は借りて支払ったものだという説明です。借りたお金は、被相続人に少しづつ返済したということでした。
保険契約の締結が20年以上も以前のことですから、当時の銀行取引履歴を復元することは不可能です。また、相続人も当時の通帳を保管してはいません。
まず、保険料の贈与について。贈与税の課税については、贈与税の申告期限から6年を経過すると、時効により課税することはできません。
保険料の基となる現金の贈与を受けたのですから、その現金を何に使ったのかは問題にはなりません。
そして、被相続人から借りて返済した金銭について。相続人の主張である、被相続人から借りたものは返済したという主張ですから、税務当局としてはその反証をしなければなりません。
自白させないと無理
どう反証するのかといえば、金融機関の取引履歴の復元ができない以上、当事者である相続人にゲロ(自白)してもらう以外に方法がありません。
20年以上前に締結された、契約者が相続人である生命保険契約が被相続人の財産であるとするためには、「その保険料の負担者は被相続人でした」と相続人に認めさせる必要があります。
相続人にしてみれば、いちど被相続人から贈与を受けたもの、もしくは借りたものという主張をしている以上、それを撤回させることは困難を極めるものと容易に想像できます。
法人税や個人事業所得の調査であれば、その調査する年分は長くても直近の7年間であり、しかもほとんどの場合取引の相手方が健在ですから、裏付け調査を行うことが可能です。
そこへいくと相続税は調べる対象年数が長い場合が多く、しかも一番の当事者たる被相続人はあの世にいて、裏を取ることができません。
さて、この案件の顛末がどうなるのか楽しみです。
【きょうのお仕事】
税理士会の広報委員の仕事で、確定申告のテレビCMなどの広報について、広告会社のプレゼンを受けました。
4社のプレゼンを見ましたが、ラジオCMやコンビニのレジ上のモニターでのCMなどいろいろ見られて勉強になりました。
【きょうの料理】
大根とお揚げさんの煮物。色味は地味ですが、この季節向きの味があります。


