預金も保険も基本的には名義人のもの でないとどうなるか
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相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する
相続税の税務調査事例の続きです。
生命保険契約の契約者は相続人名義になっているが、保険料の負担者が被相続人だったのではないかと、税務当局から疑われている場合の事例です。
☞ 10年以上前に契約締結された生命保険契約の権利 税務調査で指摘を受けたら

基本的には名義人のもの
保険契約では基本的に保険契約者が保険料負担者ということになります。
これは預貯金口座の名義人でも同じことで、当該口座の名義人がその預貯金口座の所有者となります。
この前提がなければ、代金決済などでいちいち混乱が生じてしまうことは明らかです。
Aさん名義の口座は実はBさんのものだから、Bさんの買い物の代金をAさん名義の口座から引き落とす、なんてことをやっていたら収集のつかないことになってしまいます。
保険契約の課税関係
たとえば、満期保険金の受取人が保険契約者以外の者であった場合には、税務当局は保険契約者から受取人への贈与があったもの(みなし贈与)として、贈与税の課税対象とします。
それは、基本的に保険契約者が保険料の負担者とされているからに他なりません。
ここで、それが贈与ではないと主張するためには、満期保険金の受取人が保険料の負担をした事実を明らかにする必要があります。
このように、保険契約者が保険料負担者ではないと主張するためには、その立証が必要になるということです。
とすると税務当局が指摘するところの、保険契約者は相続人になっているが、保険料負担者は被相続人だったという立証の責任は税務当局にあるということになります。
さて、その立証をどのように行うかですが、まず相続人の過去の収入状況からみて、その保険料を負担する資力があったかどうかということを指摘してくるでしょう。
この過去の収入の状況については、年金記録を調査することにより判明します。
ただ、過去の収入が判明したとしても、その金額によって保険料が支払えたかどうかは、想像の世界でしかありません。
もちろん収入がまったく零とか極端に少ない場合は別として、夫婦共働きで平均的な収入を得ていた場合にはどうでしょうか。
高額の生命保険料を支払っていたとしても、それがそのまま被相続人が負担したものだったということにはならないでしょう。
保険料負担ができたかどうかは、当事者それぞれのことであり、極端な倹約家だったらそれが可能かも知れません。
やはり、被相続人が保険料を負担したという直接的な裏付けがなければ、その保険契約を相続財産に加えることは難しいものと思われます。
その裏付けとしては、たとえば被相続人の預金口座から保険料が振り込まれているなどのことです。
【きょうのお仕事】
今年最後の相続税案件の納品準備を。今年もありがとうございました。
【きょうの料理】
はんぺん、大根、蓮根のステーキ。にんにくバター醤油。


