税務職員のジレンマ 質問検査権というアイテム
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相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する
私は税務職員として32年間勤務後、退職して開業税理士となりました。
税務職員の間はずっと資産税の担当として譲渡所得税や相続税の調査が主な仕事でした。
所得税や相続税、法人税などの国税は申告納税の制度が採られており、納税者自身が自らの税金について計算して申告し、納税するシステムになっています。
自分の所得などの申告を自分でするのですから、その計算には誤りがあったり、なかには噓偽りの申告をする者もでてきます。
そこでそれらの申告に誤りがないか検査する必要性があります。そこで税務職員には「質問検査権」なるものが付与されています。納税者に対して税務申告の内容について質問し検査することができ、納税者は正当な理由なしにはこれに答える受任義務が生じます。
ただ税務調査はあくまでも任意調査であり、国税局査察部(マルサ)が扱うような強制調査の権限はありません。
一般の税務調査は、納税者の協力を得てスムーズにすすめてゆくものなのです。
ただ、納税者の本音としては、できる限り税金は少ない方がいいに決まっています。
ですので調査には応じるけれども、決してすすんで調査協力したいわけはありません。
そんな敵がい心満載のイヤーな雰囲気のなかで、調査担当の職員は質問検査をしなければならないのです。
調査事務が大好きな職員もいれば、まったく調査にむかない職員もいます。
任意調査の範囲内でいかに上手にトラブルなしに、納税者に修正申告を出させるかで、職員の評価が決まります。
納税者とトラブルになって、そっぽを向かれてしまったら税務署としては、更正決定処分の途があるにはあるのですが、それをするには膨大な事務量を要します。
余程の悪質な納税者で、納税者本人以外から証拠を収集できる場合は別として、調査担当者にとって、一番困るのは納税者に開き直られて調査協力を得られなくなることです。
この強いようで弱い、強権でありそうでそうでもない税務調査、質問検査権なるものが税務職員であった期間ずっとストレスだったように思います。
税理士に転職してみてよかったことはたくさんありますが、なんといっても調査にいかなくていいのがほんとによかったなあとしみじみ。

