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無理ゲー社会 橘玲著 ~才能ある者にとてはユートピア、それ以外にとってはディストピア

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無理ゲー社会 橘玲著 ~才能ある者にとてはユートピア、それ以外にとってはディストピア

”ベストセラー作家が知能格差のタブーに踏み込み「理不尽なゲーム」の正体を解き明かす衝撃作。”(帯封より抜粋)

表題から想像できると思いますが、読んでいて、ハッピーな気分になれる内容の本ではありません。

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無理ゲー社会を乗り越えなければならない若者たち

無理ゲー社会とは、攻略不可能なゲームのような社会を指します。

現代社会を多くの若者はそう捉えているというのです。

冒頭に安楽死を合法化して欲しいという若者(20代~30代)の意見が並んでいます。

人生100年時代を迎えて、自分たちにのしかかる高齢者の負担と、自分も1世紀もの間生きて行かなければならないという不安を抱えている。

その負担と不安に耐えながら、パートナーを見つけて子供を産み育てようという気持ちになれない若者が多いということですね。

そして、さらに少子化が加速してゆく悪循環となる訳です。

今の社会システムが崩壊しない限り、格差は広がっていく

資本主義社会は、お金がなくても起業家精神、すなわち自分がやりたいことがたくさんある人にとってはパラダイスです。

やりたいことにお金を出してくれるスポンサーは、溢れるほど存在する訳ですから。

スポンサーからの借入金をてこにして、事業を展開して億万長者になってゆく。

そうした起業家達はどんどんお金持ちになっていって、そうではない人との格差がどんどん広がっていく。

これが、今の格差社会なのです。

格差社会は、たとえば税制などの政府の政策などでは完全に解消することは難しい。

なぜなら、その富裕層の人達にはお金がどんどん集まってくるから。

富裕層の人達はお金が目的なのではなくて、自分がやりたいことをやっているだけで、お金は単なるそのやりたいことをやった結果に過ぎない。

富裕層の人達が、そうではない人たちからお金を奪っているわけではなく、富裕層の人達がやることに、お金が引き寄せられているのです。

なので、今の社会システムが存続する限りにおいて、富裕層にお金は集中し続けますから、格差は縮まることはない訳です。

ですので、今の格差社会が解消するのは、今の社会システムが壊れる時しかないということです。

つまり、コロナどころではないパンデミックが起こるとか、世界戦争が勃発するとか、巨大隕石が落ちてくるとかで、現代人の大半が死滅してしまうと、それまでの社会システムが崩壊して、社会がリセットされ格差が解消されるという事ですね。

これは、戦前格差社会だった日本が戦争でリセットされて、総中流社会となったことからも明らかです。

高度経済成長で、所得は右肩上がりに伸びてゆきどんどん豊かになっていった。

平均寿命もどんどん延びて、いまや人生100年と言われるまでになってしまった。

その結果、その高齢者達を支えるために、若者達から希望を奪ってしまう結果となったということなのです。

人間万事塞翁が馬

この本を読んでいて、万事塞翁が馬だなとつくづく思います。

  • 塞翁が飼っていた馬が逃げてしまった ☞ チックショー!
  • 逃げた馬が隣の国の優秀な馬を連れて帰ってきた ☞ ヤッター!
  • 塞翁の息子がその馬から落馬して大けがを負った ☞ チックショー!
  • 戦争が勃発したが、塞翁の息子は大けがをしているので徴兵されずに済んだ ☞ ヤッター!

悪い事が起きたと思っていたら、その事が良い事に繋がっているということですよね。

ですから、一見すると悪いと思える事でも、その事実は次の何か良いと思える事に繋がっている。

物事(事実)にこれは良い事、これは悪い事と勝手に判断しているのは自分で、実は良いとも悪いとも言えないのではないのでしょうか?

  • 日本が戦争に負けた ☞ チックショー!
  • 戦後復興に伴う高度経済成長、豊かな生活、自由を手に入れた ☞ ヤッター!
  • 自由にどう生きればいいのか分からない ☞ チックショー!

身分社会では、自分の人生がうまく行かない事を自分の出自のせいにできる訳です。

自分が悪いんじゃない、生まれついた身分が悪かったんだと。

ところが、現代日本は自由です。

何をやってもいい訳ですが、成功も失敗も自分の責任で、他に責任を押し付けられないのですよね。

もっと楽天的にやれることをやってゆく

筆者は本書では「わたしたちは、なんとかしてこの残酷な世界を生き延びていくほかはない。」と沈痛なイメージで結んでいます。

一方筆者は著書”人生は攻略できる”(ポプラ社)で、「君はすでに、人類史上もっとも豊かな今の日本に生まれたという大きな幸運を手にしている。」とも述べています。

自分自身が物事をどう捉えるかということだと思うのです。

当たり前の事ですが、今自分がこの時代に生まれついて存在していることは変えようがありません。

今の時代って、私の年齢(53歳)だから言えるのかも知れませんが、私自身は結構というかかなりいい時代だと思っています。

  • 電気、水道がどこに行っても使えます。
  • 超便利な家電製品に囲まれて快適です。
  • 僅かなお金で移動が出来る交通網が整備されています。
  • スーパーに行けば溢れんばかりの食材が並んでいます。
  • (災害が増えてはいますが)穏やかな天気の日は多いです。
  • 夜中に出歩いても、まあまあ安全です。

・・・良い事に目を向ければ、数え上げれば切りがないほど、かなりいい時代だと思うのです。

良くないことに目を向けていると、その事ばかり考えるから、良くないことを引き寄せてしまうのではないでしょうか。

同じ生きるのなら、そんなに深刻にならずにもっと明るく、楽天的に今、自分が出来ることを一生懸命にやって、生きてゆけばいいのではないかと思います。

【きょうの料理日記】

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