税理士会の税務支援の一環で、確定申告期間中の何日間かは電話相談センターで相談業務に従事しています。
オペレーターから転送される電話は一日おおむね50件あまり。いちにちの業務を終えるとグッタリです。
電話が集中するときには集中するもので、1件おえるとすぐにつぎの電話とわんこそば状態になることもあります。
確定申告相談に持参する書類はなにかとかのかんたんなものから、最近では暗号資産の申告の仕方についてなど多岐にわたります。
自分の専門外の税目「消費税」がきたら恐怖ですが、お勉強だとおもってチャレンジしています。
そんななかで「ふるさと納税」の質問もけっこう受けます。
いくらまで寄付をしても損をしないのかといった問い合わせです。
自治体から自治体への予算の移転
ふるさと納税とは、自分が好きな自治体に寄付金をすれば、寄付者の所得金額にもよりますが、寄付者は実質的に2千円の負担でその何倍もの価値の返礼品を寄付先の自治体からうけとれるという夢のような制度です。
それだけ聞いたら、「じゃ、やらなきゃ損じゃないの」と思うでしょう。そう、やらなきゃ損なんです。やったもん勝ちです。
でも、なんか変だなあと思いませんか?
そんな日本昔ばなしの打出の小槌みたいなおはなしが現実にあるんだろうか?
(返礼品の価格-2,000円)の価値分はどこから生み出されているんだろう・・・って考えますよね。
ぜったいに、その差額分のお金はどこからか出ているはずなのです。
それはどこなのでしょうか?打ち出の小槌はどこなのか?
それは、ご自身がお住いの自治体です。
ふるさと納税の本質は自分の住む自治体から寄付先の自治体への税源(予算)の移転です。
つまり、寄付すればするほど、自分が住む区市町村の予算は減っていきます。
それは、寄付すればするほど、自分の住む区市町村の行政サービスは低下するというのと同じ意味です。
自分の住む自治体の財源の一部が返礼品となっているということですよね。
自分が受けるべきサービスを削って返礼品を受取っているということになります。
報道によれば、都市部から地方への税源の移転が顕著なようですね。
税務支援の無料相談で対応した納税者の方のなかでも、北海道と南九州方面へのふるさと納税が特に多いようです。
もちろん、ふるさと納税は納税者に認められた当然の権利であり、あたりまえですがそれ自体は法的にはなんらの問題はありません。問題ないのは理解しているのですが、自分の住む自治体の財源が減るという事実が頭からはなれず、いまだに実行できないでいます。
【きょうの料理】