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事業承継税制使いますか~いろいろな高いハードルがある

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事業承継税制使いますか~いろいろな高いハードルがある

当ブログをご覧いただきありがとうございます。相続専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。

私は相続専門ですので、法人の顧客はありません。ありませんが、懇意にしていただいている税理士先生からご依頼があり、昨年の夏ごろから事業承継税制のご相談をさせていただいています。

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事業承継税制の特例措置

事業承継税制は同族会社の株式を、後継者へ贈与・相続する際に使える納税猶予制度です。その特別版(特例措置)の適用を受けるためには、中小企業庁(窓口は各県庁)への最初の申請を来年の3月15日までにしておく必要があります。

初めて先方とお会いして、お話ししたのは昨年の夏ですので、もう1年近くになります。

途中、事業”再編”税制も使う使わないのやりとりもあり、それで時間が過ぎてしまったこともあるのですが、いまだに事業承継税制(贈与税の納税猶予)を使うかどうか、はっきりとした判断をされていません。

こちらの説明不足という面もあると思います。もちろん、制度の概要を資料でご説明はしているのですが、先方がどれくらいご理解いただいているのかは分かりません。

不確定要素がネック

先方が適用をためらっている大きな要因は、未来の不確定要素です。現在の代表者である社長から、息子さんが跡を継ぐことは決まっているのです。しかし、その次の3代目はまだ幼少であり、跡を継ぐかどうかは不確定です。それに、今は会社の業績が好調ですが、今後どうなるかは、誰にも分かりません。

非上場株式の贈与税の納税猶予(事業承継税制)の適用を受けていて、贈与税の猶予継続中に先代が亡くなったら、猶予されている贈与税額は免除になりますが、贈与していた非上場株式は相続財産とみなされて、相続税の課税対象財産になります。

その相続税の課税の際に、過去の贈与の時の株式の評価額がそのまま相続税の時にも使われることになります。

贈与の時から相続開始の間に、会社の業績が上向いていれば、相続税の課税を低く抑えることができます。反対に業績不振で株価が低迷していた場合、贈与当時の高い評価額に相続税が課税されることになってしまうのです。

そういった、未来の不確定要素を想像して不安になって、適用に踏み切れない様子です。

この株式の納税猶予制度、よく考えてみると、実際に税金が免除される時点はどこかというと、二代目が亡くなった時点となります。二代目が亡くなった時点でようやく、ひと世代分(一代目から二代目への引継ぎ)の贈与税及び相続税を納税せずに済んだ、と言い切れるのです。

確かに、将来の不確定要素を想像して不安に感じることでしょう。ああなったらどうしよう、こうなったらどうしよう、ああどうしよう・・・と考えては悩んでいることはよくわかります。

こうして、文章にしてみるとよくわかりますが、未来の不確定要素をいくら頭のなかで堂々巡りさせたところで、未来のことが分かる日はいつになってもやってきません。答えの出ようがないのですから。

こういった状況の時に、どうすればよいかと言えば、どっちでもいいから決めてしまうことだと思います。

YESかNOかで決めてしまったほうが、気分的に楽になれます。未来が分からない以上、どっちを選んでもそれが正解だと思うのです。適用する選択をしてしまって、将来もしかしたら後悔するかも知れません。反対に適用しなくても後悔するかも知れません。そう考えれば、どっちでもいいのではないでしょうか。

とはいえお客様に対して「どっちでもいいんじゃないですか~」なんてアドバイスはできませんし、どうお伝えすれば、分かっていただけるか悩むところです。

【きょうの料理】

塩サバのフライパン焼きです。塩サバの水気をふき取ってから、皮の面だけに片栗粉をまぶしてフライパンで焼くだけです。

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