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当ブログをご覧いただきありがとうございます。相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。
お役所の押印廃止がどんどん推進されています。相続税の申告書はもちろん、納税者が税理士に税務申告代理を委任するための税務代理権限証書も押印の必要がなくなりました。諸外国のデジタル先進性に倣って、「無駄な」押印を廃止してしまう流れは止めようもありません。
現実感がないと感じてしまう
先日の相続税調査立会にあたっては、私は当初申告書の時には関与していませんでしたので、立会のために納税者から確かに委任をうけていることを示すために「税務代理権限証書」を、被相続人の住所地の管轄税務署長へ提出する必要があります。
もちろんお客様から税務代理の同意は得ますが、提出するのはプリンターで印字されたペーパー、もしくは電子送信されるデータとしての「税務代理権限証書」です。
署名押印が必要ありませんから、作成・提出する税理士にとっては手間もかからずとても都合がいいです。
デジタルなのですから当たり前なのですが、それには現実味がありません。実際に同意を得ていないのにもかかわらず、作ろうと思えばいくらでも作れてしまいます。
あってはならないことですが、同意も得ていないのに作って提出ということも容易にできてしまいます。デジタルだと容易に作成することができて、しかもあまりそのことについて躊躇がないものと考えられます。
これが紙で署名や押印が必要ですと、たとえそれが三文判であっても、紙に朱肉を使って押印することや、実際にハンコが押されている紙にはリアリティーがあります。もしも、お客様の同意を得ずにハンコを押そうとしている税理士がいるとしたら、そこには心のブレーキがかかるだろうと想像できます。
形だけの世界
そのデータの「税務代理権限証書」を受け取る税務署側もほんとにこれぞお役所仕事というか、形だけ整えばそれでいいということになるでしょう。ほんとにそれが同意を得たものかどうかはどうでもいいことで、法が求める手続きさえ踏んでいればそれでOKという世界です。
もちろん、デジタル化で世界のながれについてゆくことも、法令を遵守することもとても大切なことだとは思います。だがしかし、それだけでいいのかなという想いがどこかにあって、どうにも消えないのです。
デジタル化を推進しつつも、何か現実味を感じることを残す手法はないものか・・・。
こんなことを考えるのも、私がハンコ文化を経験しているアナログ世代だからであって、デジタル世代にとっては「何のこと?」なのでしょうね。
【きょうの仕事】
顧問先の事務員さんの相談対応。必要とされていると感じることができて、とてもありがたいことです。
【きょうの料理】
サワラの味噌焼きです。馬路村のゆず茶(ゆずを使ったマーマレード)と味噌と水を混ぜたもので味付けしてみました。もっとたっぷりと塗ってもいいかも知れません。