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当ブログをご覧いただきありがとうございます。相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。
延長されるだろうなと思っていたら「中小の事業承継後押し・税優遇 申請期限延長へ」の見出しが日本経済新聞の一面にありました。
非上場(同族)株式の贈与税の納税猶予制度を受けるために必要な、中小企業庁(窓口は各都道府県)への最初の申請(確認申請)期限は令和6年3月末日が期限とされていたのですが、何年間かは不確定ですが延長されるようです。
利用が進まない理由
経済産業省は3年間延長、令和9年3月末日まで延ばしたいと考えており、財務省は延ばすにしても1年との意見とのこと。
なぜ1年なのか、財務省の主張は「延長期間があまりに長いと、事業承継が先送りされてしまう」というのが理由のようです。
その理由はあまりピンときません。そもそも、なぜ申請期限が延長されるのかというと、非上場株式の(贈与税の)納税猶予制度があまり利用されていないからです。
なぜ利用が進まないかと言えば、法人事業の長期的な将来が見通せない不安があるからに他なりません。
私が携わっている事業承継案件のお客様も、現代表者の子どもの世代はよくても、孫の世代までとなると、孫はまだ幼少であり、その孫に自分の世代の負債(ツケ)を残したくないという思いを強くお持ちです。
法人の経営が今は順調でも、このグローバル化の時代には10年後、15年後がどういった経済情勢になっているかまったく予想がつきません。
納税猶予の申請期限の延長期間を短くしても、この制度を利用する件数が飛躍的に伸びるとは考えられません。それならば、来年3月に迫った期限を目前に申請件数が伸びているはずです。
おそらく申請期限を延ばしても、利用割合はたいして変わらないでしょう。
税理士にとっても重たい案件
関与する税理士にとっても、この納税猶予制度は重たい案件です。非課税ではなくて、納税が猶予されているだけですので、継続届出書の提出を失念した場合などの猶予期限の確定要件に触れれば、即猶予されている税金を納めなければなりません。継続管理してゆくリスクが大きいので、あまりこの制度に対して積極的になれないのが本音でしょう。
「超特例措置」はあるか
この申請期限延長は猶予制度の「特例措置」についてのもので、特例措置のベースには「一般措置」があり、もちろん今も存続しています。その一般措置のしくみがあまりに使い勝手が悪すぎたことから、利用件数が少なすぎ、こりゃイカンということで適用要件を緩和して登場したのが特例措置なのです。
ここはひとつ、10年もののジャージ並みに適用要件をダルダルに緩和した「超特例措置」でも作らない限り利用割合は伸びないでしょうね。
いっそのこと、一定要件に該当すれば非課税ということにしてしまえば、その時限りで済みますから、利用割合は爆発的に伸びることでしょう。
【きょうの料理】
焼きそばのそば抜きです。大阪には「肉水」なる肉うどんのうどん抜きという名物があるそうです。焼きそばのそば抜きですから・・・何でしょうね?