税務調査の予告をうけたら 税理士独立開業
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相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する
自分が手掛けた相続税申告案件について、税務調査の事前通知がありました。
自らの案件としては初の実地調査(実調/じっちょう)を受けることになります。
☞ 税務調査で財産の評価減を指摘してみました 言ってみないと始まらない

寝かされていた案件
調査対象となったのは、申告書を提出後数年が経過している案件です。
遺産総額はそこそこの金額でしたので、今まで寝かされていたのはなぜでしょうか。
あくまでも想像ですが、それはつぎのようなことが考えられます。
- 確実に(税金が)取れる要素がない
- 不明確ながら確認しておくべき要素がある(調査省略できない)
相続税の申告内容で、不明確だけれども、確認しておかなければならないというとやはりアレですね。
アレとはいわゆる「不明出金」ではないか。
「不明出金」は相続税の税務調査ではよく問題点として取り上げられる事柄の代表格です。
不明出金とは
なにが不明なのか。
被相続人の預金口座から、生前にまとまったお金が出て行っているのに、それが相続財産に反映されていなことはもちろん、その行き先、使いみち(使途)が不明なお金のことです。
この不明出金の行き先を実地に調査に行って明らかにしてこ~い、という統括官の命令のもと税務調査官はやってくる訳です。
調査官はお家にやってきて、その不明出金の預金通帳を支配管理していたのは誰か、出金手続きの実行者は誰だったか、預金口座の所有者である被相続人が当時入院中で自ら出金できない状況にあったのではないか。
その出金をしたのは実は相続人で、そのお金をどこかに隠匿しているのではないか。
それを確認したいので、お家の中を見せたまえ、と言ってくるのではないかなと勝手に想像しています。
お家の中を確認して、不明出金に相当するような金目のものが発見できなかったら、つぎは金融機関調査です。
被相続人の取引金融機関に「臨場」して、不明出金のあった日の後3日くらいの伝票をめくって不明出金をどこかに移していないか確認します。
それでも分からなかったら、不明出金は不明のままとなります。
被相続人が何かに費消、使ってしまったか、誰かにあげたのか、どこかの何かに寄付したのか、それは被相続人のみぞ知ることだった。
ということになれば、税務調査は「申告是認」すなわち「おとがめなし」ということになって終了する訳です。
のびのびにならないように
税務調査はそれを受けるお客様、納税者にとっては心理的にとってもおおきな負担です。
税務署に何を指摘されるのか、いくら追徴の税金を負担しなければならないのかなど疑心暗鬼になり、そのストレスがもとで寝込んでしまう方も少なくありません。
ですので、できる限り調査の期間は短いことを望みますが、もし不明出金の調査だった場合には調査期間が長くなりがちです。
というのは、不明出金の行き先がスパッと分かれば別ですが、分からない場合はあっちを探し、こっちを探ししなければなりません。
金融機関へあらためて取引履歴の照会をするのにも時間がかかります。
そうなるとどうしても調査期間が長くなってしまうのです。
どうか短期間でスパッと済むように祈ります。ぜひ「申告是認」で。
グレーゾーン課税はNG
税務署の仕事の中でも調査事務は花形です。
「取って」くる職員はできるヤツとして重宝されます。
調査で型どおりのところを取ってくるのはアタリマエで、型どおりでないところから取ってこられる職員がエラいのです。
型どおりでないところというのは、課税されるかされないか、白黒はっきりしないいわゆるグレーの部分です。
相続税調査でよくあるのは家族名義預金ですね。
家族名義の預金がその家族の収入に比して過大であるものの、被相続人の収入または預金から紐づきはしないといったような場合です。
この場合、税務当局は銀行取引履歴などの客観的な証拠資料はありませんから、相続人などからの聴き取り調書を証拠に課税しようします。
調査手続法からいえば、「税務署長が更正すべきと認めたもの」しか課税しないというのが建前ですので、グレーの部分には課税できないはずなのに、調査が上手な人はうまく調書を取ってくるのですよね。
税務職員時代の私は、その「うまい調査」ができませんでした。
完全に黒という客観的な証が立てられないのであれば、課税されるのはおかしいと私は考えています。
【きょうのお仕事】
土地評価の依頼で現地確認へ。
【きょうの料理】
キーマカレー。カレー粉とカレールウの混血カレー。ごちそうさまでした。

