節税策には非対応 税務署の相談窓口
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相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する
先日顧問先の税理士事務所で、お客様からの相続の相談におこたえしたところ、ひじょうに喜んでいただけました。
ちょっと大げさすぎるくらいの賛辞をいただき恐縮しきりでした。

表情が明るく
お客様の悩みは、気性の激しい兄弟と将来、お母様の相続についての話し合いなどをしなければならないことでした。
お母様はご健在で、まだまだお元気なのですが80代も後半になっておられ、将来の相続手続きのことが気になってしかたがないのだそうです。
お話しをうかがうと、お母様のすべての財産は相談者の方に相続させる旨の公正証書遺言をすでにつくってあるのだそうです。
遺言、しかも公正証書遺言がある場合には相続手続きは、その遺言があれば他の兄弟の合意がなくてもできることをご説明しました。
また、兄弟の戸籍謄本も相続人の権利行使に必要な場合であれば取得することができることも説明しました。
すると、お客様の表情がにわかに明るくなり「ずっと気に病んでいたことが解消しました!」「相談に来てみて本当によかった」と賛辞をいただきました。
遺言によって、すべての財産を子のうちのひとりが取得した場合には、その他の兄弟には遺留分があります。
その他の兄弟から遺留分を請求された場合には、最低でも遺留分額の金銭をその他の兄弟に渡す必要はあります。
ただ、とりあえずの相続手続きは公正証書遺言だけでできます。
ご相談に見えたお客様は、ネット検索や相続関係の書籍などで調べはしたものの、公正証書遺言があっても兄弟の合意が必要なのかどうか確信が持てなかったのだそうです。
税務署の相談対応
そのお客様は、前に税務署にも相談に赴かれたそうなのですが、「節税策は税理士かコンサルタントにでも相談してください」と冷たくあしらわれたのだそうです。
私も税務職員時代にはそういった相談対応をしていたので、身につまされる思いでした。
しかし、税務署の相談窓口で懇切丁寧に節税策を説明されてしまうと、税理士の立場がなくなってしまいますね。こうして税理士として相談をうけて、賛辞をいただけるのも税務署が冷たい対応をしてくれる結果とも言えます。
しかし、安くはない税金を取られる側にしてみれば、ちょっとくらい節税のアドバイスをしてくれてもいいんじゃないかと思うのですが。
税務署の相談窓口で節税策をアドバイスしない理由・いい訳としては、おそらくあらゆる納税者にひろく同様の節税策を説明しなければ不公平になってしまうから。
もしくは相談者のおかれているあらゆる状況を把握してはいないので、安易な節税アドバイスをしてしまい、それが意図せず不利益が生じた場合に責任が取れないから。
ということではないでしょうか。とにかく面倒ごとが嫌なのですね。
【きょうのお仕事】
以前から相談を受けていた同族会社株式の贈与のための評価を。税額がおおきいのでより慎重に。
【きょうの料理】
塩鮭のムニエル。山陰産の養殖鮭だそうです。油がのっておいしい。ごちそうさまでした。

