積極的な贈与税の税務調査をしない理由とは

相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する

「高額な預金を移動させていたら、贈与税の調査があるのですか?」

贈与税の調査があるのではないかというご相談をよく受けます。絶対にないとは言い切れないものの、税務当局は贈与税の積極的な税務調査は行いません。

☞ はじめての税務調査が完結 いまいちもの足りない

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積極的でない理由

税務当局が贈与税の税務調査を積極的に行わない理由。それは、当局が「取りたい」のは相続税であり贈与税ではないからです。

そもそも贈与税法という税法は存在しません。

贈与税は相続税を回避しようとするのを阻止するために、相続税法上に規定されている補完税目なのです。

ですので、資産税関係の税務調査で税務当局がより多くの税金を取りたいのは、相続税においてです。

贈与税は言わば「オマケ」の税目なので、税務調査官がいくら必死に贈与税の調査をして多額の税金を取ってきても上役からお褒めの言葉はいただけません。

税務調査官も人の子ですから、せっかくならほめられることをしたいのが人情。だから相続税の調査に精魂を傾けます。

企業の事業計画と同様に、税務当局にも年間の事務計画があって、資産税の調査担当者の調査事務は優先的に相続税に充てられます。

贈与税の調査計画はあって無きに等しいくらいのレベルのものでしかありません。

贈与税の調査がある場合

贈与税の積極的な調査がされるのは次の事柄についてのことが多いです。

無申告の場合

たとえば、不動産の贈与をうけているのに、贈与税の申告をしていない場合。

たとえば、自分が保険料を負担していない生命保険契約の満期金を受取ったのに、贈与税の申告をしていない場合。

これらについては、税務当局は資料情報により明らかな申告漏れを把握しています。当局としても資料情報で申告漏れが分かっているのに、見過ごすわけにはいきません。後になって、課税漏れを会計検査院に指摘されてしまったら大変ですからね。

そこで(しかたなしに)文書で勧告するとかして、申告を促します。それでも申告がない場合には実地調査という手段で、課税処理を行います。

相続税の調査にからめて

相続税の実地調査にあわせて贈与の事実がなかったか、確認されて贈与税の課税をする場合もあります。

その場合でも、当局がほんとに取りたいのは前述のように相続税ですので、実質的には贈与なのにもかかわらず、これは相続財産であると納税者に認めさせて相続税を取ろうとします。

実際、相続税の調査時点で相続人の贈与税を課税すると、たいていの場合贈与税は期限後の申告ということになり、贈与税の期限後申告の加算税や延滞税がかかりますから、納税者にとっても有利なので、当局のすすめに応じるのは必然です。

でも、真実は贈与であり相続財産とは区分されるべきことなのに、当局と納税者との利害が一致するのでそういったゆがんだ形で、相続税を取っていかれているのが実情なのです。国家に入る金額としては、減ってしまっているのですがね。

その点でも贈与税の調査件数は相続税のそれよりも、極端に少なくなっているのです。

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海老のスープカレー。スパイス料理は定期的に摂取したくなるものです。

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