年数の経過した相続税案件の実地調査
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相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する
懇意にしている税理士先生から電話があり、「税理士になって初の相続税調査の連絡があった」のだそうです。
先日終了した当事務所が関与した相続税案件と同様、申告から2年以上が経過している案件の実地調査です。
☞ 紐づいていない預金を取ってくるのが敏腕調査官 相続税税務調査

当初申告から年数の経った案件のみなおし
私が税務職員だった当時(2020年まで)は申告期限の翌年か翌々年中には、実地調査として選定された案件を調査して処理していました。
さらにその年となると時間が経ちすぎていて、どうしても調査しておく必要性の強い理由のある案件以外は、処理時間がないことを理由に実地調査を省略していたように思います。
申告期限から年数の経った案件のみなおしをしているのかも知れません。
税務署が納税者に更正処分、つまり「納税者が自主的に修正申告書を提出しない場合には、税務署から一方的に課税処分が行える」期間は、申告期限から5年間です。
その間であれば、調査に入られる可能性はない訳ではありません。
ただ、時間が経てば経つほど納税者の記憶はあいまいになってゆきます。
法人税や個人の事業所得のであれば、帳簿が残されていて、その帳簿が証拠資料になります。
相続税の調査では帳面がある訳ではなく、相続人の記憶だのみの部分がおおくあります。
また、被相続人が夫で主たる相続人がその妻だった場合、年数が経過するごとに妻は高齢となってゆき、記憶もあいまいになってゆくのが必然です。
それから預貯金の調査にしても、金融機関で過去の取引履歴の確認や伝票の保存がされているのは基本的に現時点から10年間です。それより以前に預貯金口座間で動きがあったとしても、把握できなくなってしまいます。
さらに現金や金地金、書画骨董などの現物財産についても、時間が経過すればするほど散逸してしまう可能性が高くなります。
いいタマがない
平成27年分から相続税の基礎控除が引下げられて、相続税の申告件数はおおむね倍増しています。
申告件数は倍増しているのに、相続税調査を担う税務署の資産税担当職員は増えるどころが、減っているのが現状。
調査対象とするべき案件が不足するということはないと想像できます。
「いいタマ(案件)がない」状態です。
それでも年数の経った案件の実地調査があるということは、やはりよほどどうしても調査しておくべき何らかの証拠資料を税務署が把握しているのかと、考えてしまいます。
【きょうの料理】
開いたおあげさんに納豆を詰めてトースターで軽く焼きました。


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