同じ相続税評価額の土地でも現実価値とは乖離 給排水のあるなしなど
Table of Contents
相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する
相続税申告のお客様と面談の際に、相続した宅地の今後のことが話題にのぼりました。
兄弟と遺産分割の結果、被相続人の居所の近所に住んでいたためにその方が大半の土地を相続したのです。
お話によると、被相続人の居宅とその方の居宅とは上水道が共通で、水道メーターが被相続人の家側のひとつしかないそうなのです。
しかも、水道管が細いために被相続人の家で水道を使っていたら、相続人の家の方の水圧が下がってしまうのだとか。
そこで、相続人の家に水道管をあらためて引こうとすると、上水道の主水管から離れているために、百万円以上の費用がかかるといいます。
その方のお家は公道から私道を十数メートル入ったところの奥まった位置にあるために、多額の費用がかかるそうなのです。

宅地並み評価とカンタンに言うが・・・
相続税の土地評価について、たとえば単に農地を埋め立てており、土地の高さが接する道路面と同になっていて、資材置き場などとして利用されている土地があったとしましょう。
その土地は「宅地に類似する雑種地」として、近隣の建物が建築されている宅地と同じ単価で評価されてしまいます。
ところが、実際にその土地に住宅を建築しようとすると、給排水の設備を設置せねばなりません。それだけの費用を投下しなければ、同様の利用ができないのに、相続した場合の評価額が同額というのは、不合理と言わざるを得ません。
それでも相続税の土地評価をする際の基準となる財産評価基本通達には、給排水の有無について考慮する規定はされていませんので、そこに差をつけることができないのです。
撤去費用がかかるのに・・・
また、相続した土地上にたとえば以前にあった建物のコンクリート基礎が残っているとか、撤去に多額の費用がかかる廃棄物があったとしましょう。
そんなまったく不要なものが土地上にあっても、土地の評価額はきれいに整地された更地と同額となります。
不要物の撤去費用などは、評価上まったく考慮されることがありません。
借り手がない方が高い
そのほか、相続税の土地評価では土地上にアパートなどの貸家があると、建物もその敷地も借主がいることによって利用が制限されるとして、評価額が減額されます。
反対に貸家でも借り手がつかずに空家になっていると、賃貸していないとして評価額が高くなりします。
ところが、市場価格はどうでしょうか。借り手がない物件は人気がないということですから、借り手のある物件よりも価格は低くなるはずです。
そういった視点でみてみると、相続税評価には実際の価格とは乖離してしまっている箇所があるのです。
給排水の話を聞いて、そんなことを考えました。
【きょうのお仕事】
土地評価の依頼があり現地確認に。原付でも侵入をためらうような、おそろしく狭隘な道路の先に評価対象地がありました。
【きょうの料理】
豚こま肉と大根の味噌味。


