農地の不合理分割かどうかの判断 「著しく不合理」とは
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相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。 ☞ 仕事を依頼する
とある税理士先生から質問がありました。土地の”不合理分割”についてです。

農地を分筆して一部を宅地に
状況としては、面している道路から奥に長い、約250㎡の農地(田)のうち、道路に面する側の約200㎡について分筆して宅地転用するということです。
その宅地転用する部分について親から子へ贈与するそうで、分筆の結果、道路に面しないこととなる残りの50㎡部分については、農地のままにしておくということです。
この分筆をともなう贈与が、財産評価基本通達7-2(1)注書きにある「著しく不合理」な分割であるとして、税務当局から指摘を受けないかが不安だというのが相談の主旨です。
極端な分け方
この財産評価基本通達7-2の「不合理分割」について、同通達の逐条解説には不合理分割の例が示されています。
その例には、道路に面している部分前面に幅1メートルの帯状に分筆していたり、もとは長方形の土地を対角線で分筆して直角三角形にしたりという極端なものです。
この事例を見た途端に、土地評価の専門家でなくても「これはイカンやろ」と言いたくなるような分割のしかたなのです。
そもそも「著しく」という言葉自体があいまいで、これとこれはダメという明確な線引きがある訳ではありません。
これは、その判断に幅を持たせていて、案件ごとに個別対応するという含みがあるのでしょう。
ただ、察するによほど極端な分筆、分割のしかたでなければ、当局から指摘を受けることはないのかなと思われます。
規定自体があいまいなので、「これは不合理分割だ」と言い切ってしまうには相当の確信がなければいけません。
当局としても、一度拳を振り上げてしまって、納税者が申告内容の修正に応じない場合、更正または決定の処分をしなければなりません。
そうなってしまうと、評価対象が明らかに不合理分割であることを立証する必要があります。この立証は基準があいまいなだけに、相当難しいものと思われます。
そう考えてみれば、誰が見ても「これは不合理だ」というレベルの不合理さでなければ、あえて指摘は受けないのかなと思われます。
それから、(建築基準法上の)道路に面している土地でなければ、建物の建築はできませんから、家を建てるには道路は必須となります。
その点、農地は耕作が目的ですので、道路に接していなくても利用が可能です。そういった面からも今回のケースは、不合理分割であるとまでは言えないと私は判断しました。
【きょうの料理】
鮭のハラスのカレー。あっさりしていて、これはこれで美味。


