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当ブログをご覧いただきありがとうございます。相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。
所得税の電子申告でもそうなのですが、相続税の申告書への添付が必須となっている書類が減っています。減っているのは、電子申告推進のためです。できるだけ、添付が必須の資料を減らして電子申告を浸透させよう。電子申告を根付かせるために、なるべく申告書に添付させる資料を減らそうという苦肉の策なのです。
どこまで削ぎ落すか
所得税の申告書の話ですが、電子申告でその内容を入力すれば、源泉徴収票の添付も不要というのに最初は驚きました。添付(証拠)資料として源泉徴収票を付けさせるよりも、利便性を優先させたほうが得るところが多いという判断なのでしょう。
電子申告を浸透させて利便性を高めるために、(証拠資料を付けないことで)発生するであろう不正により失う税額には目をつぶるという考え方です。
そんな考えの所得税の方向性に、相続税も倣っているようで、特例適用がない場合には、添付が必須となっている書類は戸籍謄本のみとなっています。電子化とは言葉を変えれば簡素化、無駄なものをそぎ落とすことのようです。でも本当に無駄なのかどうか甚だ疑問に思うところです。
ほとんどの税理士はそうされていますが、添付が必須になっている資料ではなくても、証拠書類はできるだけ添付する。不明瞭な点があれば、注釈を添える、特例適用のチェックシートなどが準備されているものはそれも添付する。
そうすることで、自分が提出する申告書の数字の信憑性を高めることは、税務調査に選ばれることを回避することとなります。
そうすることが、お客様である納税者にとっても、税理士にとってもメリットになると考えています。
今後はどうなるか
ただ今後についてはどうでしょう。相続税の電子申告の割合は急激に増加することはないでしょうけども、徐々に浸透しては行くと思われます。そうなれば、添付が必須ではない資料はなるべく省略してしまおうと考える税理士先生も増えてくるでしょう。添付が必須でない以上、税務署から指摘されることはありませんから。
そうなりますと、証拠資料なしの申告書が増えてきます。そのすべてについて税務署サイドで裏付け資料を確認することは困難です。
たとえば、相続財産の預貯金の残高証明書の添付のないすべての案件について、金融機関に照会をかけるなんてことは、実際問題として不可能でしょう。
たとえば、相続財産の土地の評価について、その評価明細書の添付がないすべての案件について、一から評価作業をしていくなんてことも事務量的に現実的とは思えません。
証拠資料の添付のない案件については、形式的な申告内容の審査によって抽出された、特定の案件についてのみ裏付け資料を収集して、税務調査する流れになってゆくでしょう。
申告書には添付資料をできるだけ付けて信憑性を高めるか、利便性を優先させて添付資料はできるだけ省略するか。
私は現在のところ、できるだけ添付しようと考えています。ただ、IT技術の進展によって税理士を取り巻く環境も目まぐるしく変化してゆきますので、その時には流れにまかせようと考えてもいます。今後の変化が楽しみです。
【きょうの料理】
「ひら」のソテー・カレー風味です。「ひら」は岡山県ではよく食されている魚らしいのですが、香川県のスーパーで目にすることは皆無です。魚の皮のすぐ裏側に網の目のように細い骨があり、魚の表面に縦に小刻みに包丁を入れる下ごしらえをしていないと、骨ばかりが気になってまともに食べられるものではありません。