Table of Contents
相続税理士は、常にあるジレンマを抱えて日々の仕事をこなしています。
財産の額が高額なほど報酬も高額になる
税理士の報酬表をご覧になると分かるのですが、相続税の申告書の作成報酬は
たいてい「遺産総額の何パーセント」と表示されています。
遺産総額の何パーセントということは、報酬額が遺産総額に連動して増加するということです。
財産の額が増えるのだから、その分責任も重くなるから報酬もたくさんいただくということは何の問題もありません。
高く評価されているのではないかという疑念
財産評価は、相続税理士の真骨頂、腕の見せ所です。
評価のテクニックや特例などを駆使すればもっと評価額を下げることができるのに
報酬額を上げるために高く評価されているのではないか、という疑念をお客さまに抱かれていないか~
とつねに考えてしまいます。
ほかには、家族名義預金です。
私が税理士になってからは、まだそういった案件にあたったことはありませんが、
被相続人名義の預貯金が相続開始前に、相当額引き出されているようなケースです。
もちろん、相続開始以前数年間のお金のながれは申告書作成時に確認するので、
その時点で、お金の使いみちについてお尋ねします。
その際に当局から指摘を受ける可能性が高いですよというご説明をして、
財産として計上すべき額をいくらか判断して、
亡くなられた方の財産として申告に計上することがあります。
それをあまり強く言いすぎると、報酬目当てで言っているのではないか、という疑念をお客さまに抱かれていないか~
とまた考えてしまいます。
適正な申告内容に「高い安い」はない
本来、税務申告に高い、安いという考え方自体は発生しないはずです。
1円も高くなく、1円も低くない額が申告額でないと、納税者の方からは
払わなくてもいい税金を払わされた、または申告するつもりはあったのに
申告されていなかったという結果になりかねません。
ただ、課税要件の発生から申告書の提出、納税にいたるまでの税のしくみは複雑で
一口にこれは高い、あれは安いと言い切れるものではありません。
まとめ
税のしくみが複雑だからもっと単純にすればいい、という簡単なはなしではありません。
複雑なしくみとなる理由は、適正な課税がされるように考えぬかれた結果ということもできます。
だからこそ、われわれ税理士のお仕事が成り立っている面もある訳です。
このジレンマは相続税理士である限り、つきあっていかなければならないものなのでしょうね。
【きょうのお仕事】
相続税の紙の申告書を提出に税務署へ。
電子申告のパンフレットをいただきました。
窓口の方に「がんばります。」とお伝えしておきました。
【きょうの料理】
茄子と魚肉ソーセージの炒め物
にんにくを少し加えることで、味に芯ができて料理のレベルが上がる気がします。