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養老先生の「遺言」と少子化

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養老先生の「遺言」と少子化

当ブログをご覧いただきありがとうございます。相続専門の税理士の岡田隆行です。

養老孟司先生の「遺言」(養老孟子著、新潮新書)を聴きました。audibleでお散歩しながら、電車のなかで聴きました。有名な「壁」シリーズなのだそうですが、他の作品を読んでいないので比較はできません。動物と人間の差異からはじまって、少子化の問題までお話が展開していました。

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都市部で顕著になっている少子化

折しも将来の日本の人口推計が発表されていました。2070年には日本の人口は8700万人まで減少するだろうという推計でした。

少子化は東京、京都の都市部ほど顕著なのだそうです。

養老先生の都市部の少子化についての指摘はこんな感じです。

都市は人間の頭のなか(意識)を具現化したもので、自然(感覚)とは対極に位置する。都市はそのすべてが「意味のあるもの」で埋め尽くされており、その極みがマンションだ。明るさ、気温が常に一定に保たれており、床には段差がない。高層階に行くにも身体を使う必要がない。そこは人間の一切の感覚を遮断してしまう場である。田舎の山中ではどうか、地面はデコボコで木や草が生い茂っている。日が昇るまでは真っ暗だ。風も吹けば、雨も降る。暑いし寒い。そういった自然の一切を遮断してしまった世界。それが都市と言うものだ。子を産み育てるというのは自然なことであるから、都市ではそれが意味がないものとされてしまう。よって都市部では必然的に子どもの数が減ってしまう。

松本零士の描いた未来の労働

この都市化というお話を聞いて、もうずいぶん以前、おそらくは私が中学生のころに松本零士先生の描いた未来の仕事像の漫画を思い出しました。

その青年は、あの松本零士独特の計器類だらけの部屋(銀河鉄道スリーナインの先頭車両の内部みたいな部屋)に住んでいます。朝起きれば洗顔歯磨き、朝食はすべてロボットがやってくれます。そしてお仕事の時間、仕事の内容は丸いスイッチを10回押すだけです。それで一日の労働は終了です。

私が記憶しているのはそこまでなのですが、今のタワーマンションなどの暮らしはまさにそういうものになっています。自然に触れる機会が一切ないのです。

自然との乖離

生命は自然に産まれてくるものです。よし産まれよう、と自分が考えて産まれてきた人はいません。ところが、人間の意識は意味のあるものを追求しつづけます。そこが動物と人間との分かれ目であり、その理想を突き詰めていくと、人間は自然からどんどん乖離していってしまい、子どもがいなくなってしまうことなのだと。養老先生が伝えたいことを私は今のところそう理解しています。

【きょうの料理】

天ぷら(身天)と合い挽き肉、南京の煮物風です。この”~風”と言うのも、責任を取りたくない症候群、言い切りを避けるためのことばです。「煮物です。」と書いてしまうと、煮てないじゃないかと指摘を受けた時に困りますから、”~風”と言葉をぼやかしているのです。

mame
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