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当ブログをご覧いただきありがとうございます。相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。
相続税申告の税務調査が入り、その結果当初に申告していた財産額よりも減ってしまった場合にはどうなるのでしょうか。そもそもそんなことが起こり得るのか。
相続税は申告納税制度
所得税や法人税、相続税などは申告納税制度といって、納税義務のある納税者自らが計算した結果にもとづき自主的に申告書を提出することが義務付けられています。
自主的な申告ですので、その申告内容を検査する仕組みが必要であり、それが国税局・税務署の税務調査なのです。税務調査官には質問検査権という権利が国から与えられており、調査官から質問された相手方は答えなければならない義務が生じます。
このような税務調査の結果として、相続税の税務調査の場合、90%以上の要更正割合を誇ります。要更正割合とは、その割合で申告漏れ財産が見つかっているという意味です。
そうです。相続税の調査に選ばれてしまうと、9割方は申告漏れを指摘されると覚悟しておかなければならないということになります。
減ることはあるのか
申告漏れを指摘されることの多い相続税調査ですが、税務署が調査に来て申告財産の額が減額、つまり「申告し過ぎ」の結果となる場合もあるのでしょうか?
ところで、あってはならないことですが、税務調査で指摘を受けた場合に備えて、当初申告で実際の財産額より多めに申告しておくという税理士も中には見えるようです。
現実にはなかった現金を多めに申告するとか、不動産評価で減額要素があるにもかかわらずあえて無視しているとかして、相続財産の額を水増ししているのです。少々意味合いは異なりますが、相続税版の粉飾決算と言ってもいいのかも知れません。
それはさておき、「申告し過ぎ」を指摘されることは無きにしも非ずです。ただし、納税者が何も主張しないのに、税務署の調査官のほうから「この土地は評価が高過ぎなので、下げておきますね。」と言うことは稀です。用いるべき路線価の年分が誤っているなど、どこからどう見ても明白な誤りが認められる場合などを除けばですが。
税務署の調査官には、調査の結果として取ってくる税額のノルマは課されていませんが、年間調査件数は処理しなければなりません。その処理件数の中で、いかに多額の税金、そして重加算税(重たいヤツ)を「取ってくるか」で調査官は評価されます。
税金を「取ってくる」のが仕事ですから、税金を「返す」ことは仕事になりませんから当然のことながらそういうことは避けようとします。
ただし、納税者側から明確な理論建てで当初申告額が過大となっている財産があることの申し立てがあった場合には、それを頭から無視することはできません。
たとえば、財産のうちの土地の評価において、当初申告では通達どおりの評価方法を用いて申告していたとします。もちろん、そのままでも誤りではないけれど、別の観点から見ると当初申告額よりも低い評価額にすることも可能な場合が少なからずあります。
調査官としては、その別の観点について気がついていたとしても、当初申告の方法が誤ってはいませんから、あえて「こうするともっと低くなりますよ。」と指摘してくれることはありません。
ですが、納税者側がその点に気がついて、調査官に申し立てた場合には、税務署側はそれについて検討し納税者の申し立てに正当性があれば、減額をせざるを得ないこととなります。
税務調査の結果として、当初の申告額よりも財産の額が減となった場合に税務署長は「職権更正(減額)」という手続きを取ります。その結果、払い過ぎになっていた税金が還付されることになります。
納税者から提出された申告を検査して、可能な限り適正なものに修正することが税務調査の目的です。当初の申告額が少なければ増やしますし、多ければ当然減らします。
【きょうの良事】
調査結果が減になる可能性が見えたこと。
【きょうの料理】
三重県産の金目鯛の煮つけです。その名の通り、体格の比に目玉が巨大ですよね。