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当ブログをご覧いただきありがとうございます。税理士の岡田隆行です。
昨年の8月から関与していた相続税案件の申告書をようやく今日提出することができました。電子申告でエラーとなり、かなり奮闘しましたが白旗、紙提出としました。相続財産の争奪戦までには至っていない案件でしたが、思いの外時間がかかりました。時間がかかった案件も、それはそれで達成感があるものです。
相続税は亡くなった方の総決算
相続税は亡くなった方の人生の総決算です。おひとり様につき1回限りの限定申告です。決算日はお亡くなりになった日で、基本的には相続開始時点での亡くなった方に”帰属する”金銭に換算できるすべてのものを財産(資産)として、債務・お葬式の費用を負債として申告すればいいのですが、その把握はカンタンなようでいてけっこう奥が深いものです。
この点が収支のながれの中で課税が発生する所得税・法人税と大きく異なる点です。
相続税の申告期限は、相続開始の日から10ヶ月目の月命日です。10ヶ月は長いようであっと言う間に過ぎてしまいます。
相続税の申告書は、材料さえきちんと揃えば作成自体にそんなに時間がかかるものではありません。この材料揃えがなかなかスムーズにいかないことが多々あり、お客様とやりとりを繰り返している間に時間が過ぎてしまうのです。
材料は相続財産(不動産・有価証券・現金預貯金・その他財産の生命保険金など)に関することを主にして、過去の贈与、債務の有無、遺産分割の内容など多岐にわたります。お願いした資料を一度確認して、疑問点があるものは更に追加でお願いすることがほとんどです。
そして最後は遺産の分割です。ここで難航する場合が多々あります。相続人が子のみの場合力関係が均衡するためもめる場合が多いです。お父さんがなくなって、その奥さんがまだしっかりしている場合にはあまりトラブルにはなりません。
共同申告であるということ
所得税、法人税の申告と相続税申告とのもうひとつの大きな相違点は、申告書が共同申告であるということです。
所得・法人は人格が1なのに対して、相続税は複数人の場合がほとんどです。個別に申告書を提出することも可能ですが、申告額算出のしくみ的に共同申告の方が申告額にずれが出るようなことがないので共同申告があたかも基本のようになっています。
各相続人がばらばらに申告書を提出されてしまうと、税務署側で収拾がつかなくなるので、申告書の様式があのようになっているものと推測されます。ばらばらで申告書が提出されることもあり、税務署ではそのような申告を”分断申告”と呼んでいます。
ばらばらに提出された申告書の遺産総額にズレがあると、どれが正しい申告内容なのか明らかにする必要が生じます。それを処理する税務署の担当者にとって、その事務は相当の負担になります。
やり遂げたという達成感
税理士は遺産分割に口を挟むことはできません。遺産分割自体は相続人間でお話合いのうえで、結論を出していただきます。相続人が複数の場合には各相続人とそれぞれやりとりがあり、要らぬことでトラブルとならないよう相応の気を使います。そんなこんなのお客様とのやりとりを経て、申告書が完成し提出を済ませると、やはり達成感は大きいものがあります。
【きょうの料理】
レストランSHIKAのシカランチです。シカランチですが、鹿肉ではなく牛肉です。結構なご年配の方が給仕に従事しておられて、いつも恐縮してしまいます。