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当ブログをご覧いただきありがとうございます。相続税専門の税理士の岡田隆行(okatakatax.com)です。
私は高校卒業後32年間、税務職員をしていました。税務署の定期人事異動は7月で、正式な辞令交付は7月10日と決まっています。現在ではその2週間前に「内示」がされることになっています。
国を挙げての重要施策であるDX(デジタルトランスフォーメーション)化の波は、国税局税務署にも確実に押し寄せているようです。
☞ 税務署も人手不足 「資産税担当不在なので分かりません」で済む世界
できるものは何でも
とにかくDX化できるものはすべてやって行こうということで、以前は各税務署で行っていた内部事務をできるだけ集中処理室に集めてまとめて処理しようという動きが進められています。
集中化したうえで、機械化できるものはどんどん機械化してゆく。
この機械化は今に始まったことではないのです。
土地の見込時価記入
たとえば、以前は土地の登記名義変更については、税務職員が各市町村の固定資産税担当課に赴き、資料を収集してその資料が譲渡なのか、交換なのか、贈与なのかなど選別して、譲渡であれば、その資料に譲渡された物件の時価見込み額を1枚づつ記入していました。
そうなれば必然的に、地図を見る必要がありますし、どこどこの宅地であれば㎡あたり何万円という感覚が身についていきます。その業務は不動産登記がデジタル化したことに伴い、東京のセンターで登記情報が国税側に引き継がれて、時価見込み額も自動入力されるようになりました。
そのことで確かに各税務署の内部事務は効率化されましたが、土地の時価見込み額を見極められる人は当然の結果として育たなくなります。今まで人間が行っていた一連の作業を、機械任せにしてしまうとその部分がブラックボックス化してしまって、ボックスの中身は誰も知らないという世界になってしまうのです。
DX化による弊害
不動産登記資料の話はほんの一例に過ぎません。
DX化の進展ということは、こういったブラックボックスをどんどん増やしていっているということなのです。
いちどブラックボックス化してしまうと、その部分の中身は見えませんからどこがどうなっているのか知る由もありません。
どうしてラジオが電波を受信して音を出すのか知らなくても、パソコンの中身がどうなっているのか知らなくても使いこなすことは可能ですから、それはそれでいいのかも知れません。
でもそれでいいのかなと考えるのは、物件の時価見込み額を手書きしていた人間だけが思う憂いなのでしょうか。
DX化によって、何か大事なものまで効率化してしまっているような気がしてならないのは私だけではないと思うのですが。
人員削減で利便性低下
DX化の弊害でいちばん分かりやすいのは人員削減です。効率化を追い求めると、一人分は余剰となるとその一人は削られてしまいます。
すると今まで窓口対応できていたものができなくなてってしまうので、窓口相談は完全予約制になって、相談日は何か月先まで一杯という状況が実際に起こっています。
これでは納税者の利便性は低下している訳ですが、それも国策であるDX化を推し進めなければならない。他の先進国に後れを取らないように。国民の利便性をないがしろにしてまで、進めなければならないのですかね。
【きょうのラッキーさん】心理カウンセラーラッキー
プロバイオティクスの摂取によって、腸が正常になりセロトニンが分泌され落ちついた毎日が送れるようになる。
【きょうの料理】
レトルトカレー海老のっけ。